火の鳥との出会いは図書館で

手塚治虫のマンガと初めて出会ったのは、学校の図書館でした。
棚の目立つところに『火の鳥』が置かれていたのです。
見つけた時は、とても驚きました。
それまでは、図書館でマンガの本を見たことと言えば、児童向けの偉人伝くらいだったからです。
でも、どうしてこの作品が学校図書館の蔵書なのかは、読んでみてすぐに分かりました。
子どもが楽しむための読み物というだけでは片づけることのできない、重厚な歴史物語だったからです。
実際、大人になってから読み返しても、『火の鳥』の奥の深さには、思わずうなってしまいます。
また、単に史実を列挙するだけではない、宇宙的な広がりを感じました。
人間は、いつの時代も欲が深く、過ちを犯す生き物です。
火の鳥は、人間が犯す数えきれないほどの過ちを、くりかえし天空から見てきたはずです。
それを想像すると、どうしようもない虚無感を感じる時もあります。
ただ、悲しい歴史を繰り返しながらも、この無限ループからいつか脱出しようとして、前に進もうともがく人の必死さも描かれているのだと、私は信じています。
初めて読んだ手塚治虫がこの作品だという人間は、ちょっと珍しいかもしれません。
他に好きなのは、対照的に軽やかな『W3』です。